
新幹線静岡駅の北部、静岡市葵区。住宅地が広がるこの地域には県庁や駿府城を含む駿府公園があります。この駿府公園から徒歩10分ほどの場所にある食品スーパー「やおせい」が2022年8月13日、閉店しました。
やおせいは閉店を機に、店舗に入居する新たなテナントを募集しています。
やおせいを運営するのは望月泰宏さん。戦前に創業し、長い間静岡市民の消費を支えてきました。
望月さん「曽祖父が創業し自分は4代目です。正確な創業年は確認できませんが、戦前から事業を開始していたのは確かです。店名は祖父の名前が清作なので、清の字からとったといわれています」
望月さんは学卒後、一時東京で勤めていました。約18年前にUターンし従業員として入社。10年ほど前に父親から経営を引き継ぎ、経営のかじ取りをしてきました。
閉店を掲げてから反響は少なくなかったとのことです。
望月さん「地元の静岡新聞で取り上げてもらいました。SNSでも投稿をいただくなど、各所から残念がっていただきました。閉店を機に一気に来店が増え、中には懐かしがるお客さんもかなりいました」
高齢者層の減少で売り上げ伸び悩み
閉店に至った要因は売り上げの減少だったと振り返っています。
望月さん「年々の売り上げ先細りに対し、借り入れてまでして事業を継続していこうとは思いませんでした。余力があるうちに退いた方がよいと判断しました。
もともとこの地域はJR静岡駅の圏内にあり、高級住宅地に位置付けられてます。住民の方々には裕福な方が多いです。お客さんの年齢層が比較的高く、そういった高い年齢層のお客さんに支えられてきましたが、年齢層が高いだけにイコール購買者の減少を余儀なくされました」
また、25人もの従業員の雇用を維持してきました。
望月さん「コロナ禍でも雇用を維持し続けました。少ない人員で運営していくと皆がイライラしてくるんです。そんな状態で接客やサービスに臨む姿を見せたくありませんでした。人件費がかさんでも余力をもって店舗運営をしたいと思いました」
両親が一番望む形で決定へ
やおせいは賃貸の土地の上に、家族所有の建物で運営しています。建物は2階建てで、1階はお店、2階には望月代表のご両親が住んでいます。
今回の募集は両親の住居を確保しながら現店舗への入居者を検討していくことです。
望月さん「もともと店舗を貸し出そうという発想はなく、お店をたたむことしか考えていませんでした。あるいは、母親が花好きなので、母親が喜ぶお花屋にでも転業しようかなぁとも考えていました。ところが、不動産屋さんから『店舗を貸し出ししませんか』という打診があり、周りからお店を使いたいという話が相次いで舞い込んできました。
郊外にこそ大型店は出ていますが、スーパーとして周辺には競合はありません。先細りとはいえお客さんもついています。売り上げの数字も立てられます。やり方によってはいい条件で運営できると思います。大手スーパーならば、ミニ店舗などの業態で十分やっていけると思います」
望月さん「この地域は住宅地密集地であり、当店舗のように、駐車場付きのまとまった賃貸物件は多くないと思います。不動産市場ではそれだけ貴重な機会だといえます。いずれにしても両親にとって一番いいと思う形で、新たなテナントと決めていきたいと思います」
静岡の中心地、高級住宅街の一画での出店を検討してみてはいかかでしょうか。
事業者情報
商号 | やおせい |
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所在地 | 静岡県静岡市葵区安東1丁目18−14 |
代表者 | 望月泰宏 |
業種 | 小売 |