継ぐコラム

事業承継で活躍する女性たち――同族承継の現状と成功の秘訣

企業の経営や事業を後継者に引き継ぐ「事業承継」。

人が歳をとると子ども世代にバトンを渡していくように、経営の承継により事業が継続すれば、技術や想いも引き継がれ、従業員やその家族の生活も保障されるとされています。

ところが近年、主に中小企業の事業主の高齢化と、後継者の不在が社会問題としてとりあげられるようになりました。中小企業庁によれば経営者年齢のピークは、この20年間で50代から60~70代へと大きく上昇しています。経営者の高齢化と後継者不足を解消する良い方法はないでしょうか。

女性の権利を守り自らの能力を発揮できる社会

今回の記事では事業承継という領域における女性に注目してみたいと思います。

3月8日は「国際女性デー」。数多くの企業や団体が取り組みを行っていたので、そのきっかけで知ったという方も多いのではないでしょうか。

女性の権利を守り、平等な社会の実現を可能にするために国連が制定し、今年で半世紀が経ちました。しかし一方で国内では、女性が自らの能力を十分に発揮できる社会の実現を目指して制定した「女性活躍推進法」(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)の時限立法の期限がまもなく訪れようとしています。事業承継に関する課題を解決する一つの方法として、女性が果たせる役割があるか。一緒に考えていきましょう。

事業承継の課題解決に女性が果たす役割とは

(株)東京商工リサーチによると、2024年の全国の女性社長は64万9,262人でした。この数は過去最高で、過去10年の記録をたどっても女性社長率は毎年約0.5%ずつ上昇しており、同社がはじめて女性社長に関する調査を実施した2010年の21万2,153人から、14年間で3倍に増えたということになります。

女性の活躍をサポートする取り組みが、企業を巻き込んで少しずつ広がりつつあるとみてよいでしょう。もちろん2015年に国会で成立した女性活躍推進法も関係しているといえます。また女性社長の割合は15.24%と、全国の社長の1/4が女性です。彼女たちはどんな経緯を経て社長になったのでしょうか。

(株)帝国データバンク「女性社長」分析調査(2023年)によれば「同族承継」によって就任した女性社長が50.6%と、全体の半数以上をしめました。この数値は「同族承継」した男性社長の40.2%よりも10%も上まわっています。

単年の調査のために経年の変化はわかりませんが、このデータから女性社長の半数が同族承継によるということ、事業承継における親族承継は男性より女性の方が多いということがわかります。

事業承継により人生がより豊かになった

大西常商店4代目若女将 大西里枝さん

では実際に老舗企業の経営承継をした女性の例をご紹介します。

大西里枝さんは、京都で100年にわたり扇子の製造から販売まで一貫した事業展開を行ってきた「大西常商店」の4代目若女将です。一人っ子だったので、家を継ぐことは子どもの頃から意識していたといいます。その反面「扇子で食べていけるのだろうか」という不安もありました。しかし社会人になって初めて京都を出たときに、生まれ育った京都の魅力や家業の素晴らしさに気付きます。

結婚出産を経て家業を継ぐことになったとき、大西さんがまず取り組んだのが事務作業のDX化でした。注文や在庫管理など、今まですべて手作業だったので、ITツールを活用しながら作業の効率化をはかりました。続いて季節商品だった扇子を、年間を通して販売できるような商品へと開発。クラウドファンディングを活用して同社のファンづくりにも力を注ぎました。

老舗扇子店の4代目としてのリーダーシップを発揮しながら、大西常商店の持つ資産を活用した事業を創出した結果、地域の人々とのコミュニケーションも生まれ、人生がより豊かになったといいます。

関連記事:家族の想いも、伝統文化も引き継ぎたい。大西常商店4代目若女将の新たな挑戦

事業承継を成功させるために必要な支援や情報

女性が事業を引き継いで成功している背景の一つに、商工会議所などが行っている次世代経営者育成塾や、中小企業大学校によるリーダー養成講座などの事業承継支援の存在は欠かせません。女性後継者に絞った跡取り娘限定の社会人講座も開催されています。

このような育成講座とは別に、実際の事業承継事例や現在後継者を募集している経営者の想いを知ることができるのが、オープンネーム事業承継「relay(リレイ)」です。

relayではこれまで社名や企業情報が伏せられてきた事業承継のマッチングをオープンネーム(実名開示)で行い、経営者が事業に込めてきた想いをストーリー化し掲載し、これに応じる熱意ある後継ぎ候補を広く公募することで、共感をベースにした新しい事業承継の形を打ち出しています。成約事例インタビューや、事業承継ストーリー等全国各地の様々な事例を知ることで、より事業承継を身近に感じる事ができます。

政府や自治体の創業支援や事業承継支援により、女性起業家の数は着実に増えてきました。

一方で事業の後継者不足が社会課題になっている今、転職や起業に加えて、選択肢の一つに「事業承継」あってもよいのではないでしょうか。先代から受けた資源を活かしつつ、承継した事業に新たな視点を注げるとしたら、ゼロベースで事業を立ち上げるよりも魅力的です。

様々な選択肢があり得る事業承継で、可能性を広げてみませんか。

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