後継者募集記事

世界をまわる船が仕事相手。この地で培った実績と信頼を引き継いでくれる方を募集

「船舶代理店」と聞いて、その仕事内容をパッと思い浮かべることができる人は少ないのではないでしょうか。外国から貨物船がやってきて、積み荷を降ろし、出ていくまでの一切の業務を取り扱う仕事です。

鹿児島県志布志市の「志布志ポートエージェンシー」は、国の重要港湾である志布志港近くに事務所を構える船舶代理店です。代表取締役の山尾和弘さんは、この地で大切に育んできた事業を引き継いでくれる方を募集しています。

経験を活かして独立

山尾さんが事業をスタートさせたのは2016年。実はそれまでも市内の会社で、同じ船舶代理業に携わっていました。

山尾さん「定年が近くなり、自分で何かできないかと思って独立しました。年齢の制限もないし、これまでの経験や語学力、人脈を活かしてやれるところまでやってみたいと思ったのがきっかけです」

体力を使う仕事ではないことも理由のひとつだったと話す山尾さん。業務の8割ほどは、パソコンを使った仕事だといいます。

山尾さん「船会社から総代理店を通じ、私たちへ仕事の依頼が入ってきます。そして船の入港が決まると、運輸局や海上保安部、検疫などへ申請や手続きを行います。これらのやりとりには専用のシステムやメールを使うため、パソコンでの作業が多くを占めるんです。

もちろん、船の入出港の際には港で立ち会います。接岸を指示したり、船長から書類をもらったり……。現在はコロナ禍でほとんどありませんが、場合によっては船員を病院に連れて行くこともあります。船が無事に入って出ていけるように、あらゆるサポートをするお世話係のような存在ですね」

木材がきっかけで事業が軌道に

事業のスタートにあたっては不安もありましたが、なんとかなるだろうと思っていたと山尾さんは話します。とはいえ、最初の1年ほどはうまく軌道に乗らない日々が続いたんだとか。ようやく勢いに乗れるようになったのは、3年目のことだったと言います。

山尾さん「志布志港で木材の輸出量が増えたのがきっかけです。それ以前は木材の取り扱いはなかったのですが、ちょうどその頃から扱うようになり、私に木材船の依頼がくるようになりました。実は、10年以上にわたって志布志港における木材輸出量は日本一なんです。現在も志布志港にやってくる木材船の8割は私が取り扱っています」

一方、海という大自然が相手になるからこそ、大変なこともあったとも話します。

山尾さん「気象に大きく左右される仕事ですね。強風で船の到着が大幅に遅れることも珍しくありません。場所柄、台風にも大きな影響を受けます。以前は港で船が座礁し、その対応に追われたこともあります。残念ながら亡くなった船員の方もいて、葬儀場の手配や領事館とやりとりをしたり、けがをされた船員の方を病院に連れて行ったりしました」

しかし、最近ではテクノロジーの発達によって、以前よりもずいぶんと気象を把握できるようになり、トラブルは減ったと言います。「台風の苦労は全部経験しましたね」と山尾さんは笑います。

けがと病気がきっかけで事業承継を考えるように

まだまだ仕事を続けていこうと考えていた矢先、山尾さんに思いがけないトラブルが続きます。

山尾さん「2年前、木材を扱っているときに、手にけがをしてしまいました。今もボルトが入った状態です。その後、心筋梗塞を発症。ドクターヘリで運ばれて、2ヶ月ほど入院せざるをえませんでした」

けがと病気をきっかけに、山尾さんは今後のことを考えるようになりました。事業をたたむこともできますが、ここまでやってきたのだから惜しい気持ちもあると言います。

山尾さん「小さな会社ですが、コツコツと関係性を積み上げて信頼を築いてきました。せっかくなので、これまでの実績を活かして新たに取り組んでくださる人がいるといいなと考えています」

外国の船会社や船長、船員の方々とやりとりするにあたって、高い語学力が必要なのではないかと聞かれることも多いと山尾さんは言います。

「中学英語レベルで問題ありません。今はスマートフォンの機能やアプリを補助的に使って、コミュニケーションもできますから。ネイティブスピーカーではない中国の方が相手の場合が多く、英語に関してはあまり不安に思わなくても大丈夫です」

また、特別なスキルや資格もいらないと話します。

山尾さん「責任感があり、コミュニケーション能力のある方が来てくれたらうれしいですね。年齢は20代後半から40代後半くらいまでと、特に問いません。もちろん私が指導しますが、自分から率先して動けるような方に来ていただけたらと思います」

まだまだ発展できる可能性がある事業

今後も事業は伸びていく可能性を秘めていると山尾さんは語ります。

山尾さん「志布志港がなくならない限り、仕事がなくなることはありません。むしろ新しく港の建設を進めているくらいですから、仕事が増えることも期待できます。それだけでなく、木材の取り扱いもこれからまだまだ増えていくと感じています。

私は妻や娘に助けられながらも一人でやっていますが、若い方なら仲間と組んだり、誰か雇ったり、さまざまなやり方で事業を拡大していけるのではないでしょうか」

しばらくは一緒に仕事をしながら業務を学んでいってほしいと言います。

山尾さん「何でも教えますし、もし必要であれば事務所や住まいものちのち譲ります。ただ、できれば『志布志ポートエージェンシー』という名前はそのまま引き継いでほしいですね。わかりやすい名前だし、多くの方に周知されているので、そのままの方が仕事もしやすいんじゃないかなと思います」

世界をまわる船を相手に仕事をする山尾さん。海外のリアルな情勢を肌で感じられることも、この仕事の大きなやりがいだと話していました。

これまで山尾さんが重ねてきた実績と信頼をもとに、志布志市で新たな可能性にチャレンジしてみませんか?

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